カテゴリ:本・映画・舞台( 19 )

「インフェルノ」

TOHOシネマズの割引券の期限が迫っているので、午後の用事までに帰宅できるようサクッと渋谷まで観にいきました。が、「インフェルノ」は割引料金800円では申し訳ないぐらいゴージャスな映画でした。

「神曲」の地獄篇が関係してるらしいので、以前kindleにダウンロードしてあった「神曲 -まんがで読破-」を電車の中でささっと読んでおきました。そのおかげでなんとなく冒頭から作品の世界に入りやすかったような。舞台となるフィレンツェの街が美しかった。個人的に若かりし日の思い出が詰まってる街なので、ポンテヴェッキオとかドゥオモの光景に、胸がキュンとしました。

ラングドン教授は“歩く博物館”みたいな知識の宝庫で、映画の中でも彼が博識を披露するシーンがちょくちょく出てきます。こういう人が身近にいたら翻訳中に史実を確認したりする必要が生じた時に便利だろうなあ、なんて考えてしまいました。

重厚な文化と歴史に縁取られた謎解きの楽しさが、なんだかとってもゴージャスな気持ちにさせてくれる映画でした。そして「字幕 戸田奈津子、監修 越前敏弥」という王道コンビネーションも、これまたゴージャスな印象。

ダン・ブラウンの著作もこのところ読んでませんでしたが、改めてどっぷりと謎解きの世界に浸ってみたくなりました。

[PR]
by honyakusha | 2016-11-08 15:17 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「奇蹟がくれた数式」

インドの〈アインシュタインと並ぶ天才・ラマヌジャン〉を見出した英国人数学者。
2人が起こした奇蹟と友情を描いた感動の実話。(チラシより引用)

静かにじわじわとくる映画でした。友情がテーマのブロマンスものでもあるんですが、ジェレミー・アイアンズが演じる英国人数学者も、デヴ・パテル演じるラマヌジャンも、頭脳明晰ではあるけれど人間関係の構築はとっても苦手な学者肌な人達です。この2人が不器用にぎこちなく信頼関係を育んでゆく過程が静かに描かれていきます。

数学の世界を揺るがすレベルの発見を次々と重ねていくラマヌジャン。なんと独学で数学を学んできたと。ラマヌジャンがインドではなく英国の恵まれた環境に生まれていたなら、もっと早い時期からバリバリと研究をして数学界にもっともっと貢献できたはずなのに。大学に招聘されても学歴がなく身分も低いためにプライドの高い教授陣に拒絶され、孤独の中で情熱的に研究を続ける姿に、神様なぜですか?と問いたくなります。でもラマヌジャンは自分の境遇を嘆いたりすることはなく、自分の発見は神様が授けて下さるのだと、常に敬虔な心を失わないのです。(ヒンドゥー教徒です。)

字幕は松浦美奈さんです。「無限級数」とか「連分数」とか、音で聞いても私のような数学オンチにはさっぱりな言葉がたくさん出てくるので、こういう映画は字幕の効用が大きいと思います。第一次世界大戦中の英国の大学における数学の授業やインドの文化など、なんと高いレベルが要求される翻訳だろう、と圧倒されました。

不遇な中にあっても熱い思いを失わず、ひたすら研究し続けるラマヌジャンを見て、
恵まれた時代に生きる自分はいったい何をしてるんだ、と思わされました。仕事がどうのと言う前に、まずもっともっと勉強をしようと改めて心に誓ったのでした。

Bunkamura ル・シネマは観てみたい!と思わせる映画が多いです。鑑賞後、地下階にあるカフェ・ドゥ・マゴで1人余韻に浸るのがいい感じ。また行こうっと。

[PR]
by honyakusha | 2016-10-27 10:32 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「ジェイソン・ボーン」

久々に映画を観に行けました。「ジェイソン・ボーン」。楽しかった~。

ポール・グリーングラス監督のドライな演出、マット・デイモン=ジェイソン・ボーンとしか思えないはまりっぷり、そしてヴァンサン・カッセルの安定した悪役ぶりは、どれも期待通りでした。私はマット・デイモンという人は稀代の名優と思ってます。この人の、表情だけで心の動きを見事に表現する演技力は、「オデッセイ」みたいに、ずーっと宇宙船内のシーンばかり続くような映画では特に際立っていました。今回は最初から最後まで、楽しげなシーンは全くなく、ジェイソンの感情も苦悩とか悲しみとか怒りとかしかないんですが、そんな中でもこんなに表情のバリエーションがあるのねえ、と思いながら見てました。

最初から最後までずーっとハラハラしっぱなしで、文字どおり手に汗握る展開が続くんですが、さあ、いよいよ最後のカーチェイスが始まる~という瞬間には思わず立ち上がって「行けー!ジェイソン・ボーン!!」と叫びそうになりました。

ジェイソン・ボーンとヴァンサン・カッセル演じるエージェントだけが超人的に強くて、それ以外のCIAエージェントなんかがあまりにへなちょこで、何人束になってかかってもあっという間にジェイソン・ボーンにやられてしまうのが笑えます。ヒロイン役は、もう少し年齢が上の方がいいような気もしましたが、「新人」という設定だから若くていいのか、いやそもそも新人がいきなりCIAでこんなに責任ある仕事をさせてもらえるものなの?とか、いろいろあるけど、とにかくスカッと楽しめたし、戸田奈津子先生の字幕も堪能できて、大満足でした。

[PR]
by honyakusha | 2016-10-14 18:08 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「ステーキ・レボリューション」

二子玉川にできた映画館に行ってみたいけどなかなか行く機会がないなあ、と思っていたら、ちょっと気になる映画が公開され、駒澤の歯医者の帰りに寄ればちょうどイイ!ということで、初二子玉シネマしてきました。気になる映画、それは「ステーキ・レボリューション」、世界一おいしいステーキを求めて世界をめぐるドキュメンタリーです。

「麻酔を使ったので、食事は1時間ぐらい後にしてください」と11時に歯医者で言われ、そのまま何も食べずに11時40分からの上映を見たのです。「映画史上最もお腹が減るドキュメンタリー」を。これはかなり無謀でした。おまけに初めての劇場で、自動券売機の画面にタッチして座席を選ぶという経験も初めてだったので、よく確かめずに座席指定してしまい、後ろの方の席のつもりが、実はすごく前の方の席でした。スクリーンに映し出される巨大なお肉!目の前でジュウジュウと音を立てて焼かれるステーキ!切り分けられる絶妙の焼き加減のお肉!もう匂いまでしてきそうな、手を伸ばせば届きそうな距離でそれを見つめるはらぺこあおむしな私。。。

冒頭からとっても美味しそうなステーキが次々と紹介されて、どれも世界一と言ってもいいんでは?という感じなので、いったい世界一はどれだけ美味しいのか?と、途中からはお腹が空いてることも忘れるぐらい夢中で見てしまいました。牛を育てている各国の畜産農家の皆さんは、それぞれ大変な情熱とそれぞれのポリシーを持って牛を育てています。そのポリシーは人それぞれだけど、どのポリシーにも納得させられる部分がありました。

以前、「TPPでお肉が安くなるからうれしいよね」と友人に言われた時、ちょっと複雑な気持ちになりました。、私自身は、コストをかけずに大量生産されたお肉を買うのは抵抗があります。この映画に登場した、スペインで15年ぐらいかけて1頭を育てる農家や、スウェーデンの牧場で理想の和牛を作るために、胚の段階から育て始めたMBA博士は、どれだけコストがかかろうと長い時間をかけて、丁寧に牛を育ててるのが伝わってきました。まさに、命をいただく、という感じ。

ランキング入りしたお肉はどれもはっきりとした特徴があり、その個性をどう評価するかで、順位は変わるのだろうなと思いました。どうやって育てれば世界一おいしくなるかは、育てる人の価値観を反映してるということかもしれない、と思いながら見てたので、最後の字幕で「おおー、やっぱりそうか」と思いました。

原題「STEAK (R)EVOLUTION」に表現されてる、牛を育てる人々のj常識を覆す熱い思いがジワジワジュウジュウと伝わってくるドキュメンタリーでした。

[PR]
by honyakusha | 2015-10-24 21:43 | 本・映画・舞台 | Comments(2)

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」

やっと見に行けました、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」。評判通りの面白さでもう大満足です。

作品全体の娯楽性の高さはもちろんなんですが、私が最もワクワクしたのはバイクアクションのシーンです!実は私、バイク好きなのです。20代の頃は東京から鹿児島までツーリングしたこともあるし、静岡で塾講師をしていた頃は250ccのバイクで通勤し、職場でスカートとパンプスに着替えてから教壇に立っていました。今後バイクに乗ることはないとは思うけど、バイクでしか味わえないあの、空気と一体化して街を、山を、海岸を走り抜ける爽快感を今も懐かしく思い出します。

で、そんな感覚が思わずよみがえった「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」なのです。
トムのハングオフスタイルはとんでもなくカッコよかったですが、更にカッコよかったのが彼から猛スピードで逃げる女スパイのイルサ。まさに女性版イーサン・ハントという感じで、レギュラーとして再登場してほしい魅力的なキャラでした。使われていたバイクが比較的小ぶりだったのも良かった。2台のトラックの間をすり抜けたり高低差のある山道をギュンギュン走るシーンが臨場感たっぷりで、わあ、やっぱバイクいいなあ、と思ってしまった。

エンドクレジットがすごく長かったです。どれだけ多くの人がどれだけ多くの時間をかけてこの映画を作ったかがということが伝わってきて、なんかそんなところにも感動してしまいました。

家で「6才のボクが、大人になるまで」と「博士と彼女のセオリー」をDVDで見て、その翌日に劇場で「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を見たのですが、この3作はどれも全然違う意味において非常に意欲的な作品でした。

今までにない作品を作りたい、という気持ちが伝わってくるいい映画を3つも立て続けに見られて幸せだなあと思いながら、5速MTのエンジンをギュンギュン回しながら安全運転で帰りました。

[PR]
by honyakusha | 2015-09-18 05:50 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「おじいちゃんが孫に語る戦争」と「ワルキューレ」

おじいちゃんが孫に語る戦争

田原 総一朗 / 講談社

図書館で見つけて、このところ戦争関連の質問の多い息子が読むかな、と思って借りました。日本がなぜ勝ち目のない戦争を始めたのか、とても分かりやすく書かれていて、私が勉強になりました。田原さんは小5の双子のお孫さんのために書かれたそうですが、中学生ぐらいになればもっとよく理解できそうかな。

少年時代の田原さんの夢は「お国のために戦って名誉の戦死をとげること」だったそうです。そういう教育を受けた世代なのです。息子にとってはこれがすごく衝撃的だったみたい。

「日本は正義のために戦っている。悪い国と戦って名誉の戦死をとげよ」と教えられていたのに、戦争に敗けた途端、「戦争は悪いことなのだ。戦争が起こりそうになったら反対の声をあげよ」と正反対のことを教えられ、田原少年は先生に言われるままに教科書を墨で塗りつぶしながら、大人のいうことや新聞に書かれていることを、簡単に信じたらいけないな、と思ったそうです。それは本当なのか、正しいのか、自分で調べ考えて、自分で判断できるようにならなければ、という気持ちが後にジャーナリストという職業を選ぶ元になったとのことでした。

この本では二二六事件のことも解説されていたのですが、これをを読んだ日に、たまたま録画してあった映画「ワルキューレ」を観ました。
そしたら、なんだかドイツで起きた暗殺計画と二二六事件はすごく似ている気がしました。

ワルキューレ プレミアム・エディション [DVD]

ポニーキャニオン


世論の流れには強い力があり、ぼんやりしているとあっという間に流れにのみ込まれてしまいます。日本もドイツも戦争に突き進んでいった背景には、一般大衆が情報を取捨選択し、吟味し、何が正しいのか判断できない時代だったこと、そして熱狂的とも言える世論の流れが関係しています。今、幸いなことに多様な価値観や情報を得る機会を与えられている時代に生きる私は、よく見聞きし考えて、正しいことを見極めることの大切さ、そして「正しい戦争なんてない」という田原さんのメッセージを子供たちに伝えていこうと思います。

[PR]
by honyakusha | 2015-08-15 17:18 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

舞台「嵐が丘」

そう言えば「嵐が丘」の感想を書いてませんでした。

中学生の頃、世界十大小説の1つに数えられる小説「嵐が丘」を読みました。古い翻訳のためかかなり読みにくく、当時の自分は、なんで愛しあう2人がこんなに汚い言葉で罵り合うのかよく分からず。ともかく、ひたすら荒涼としたイングランド北部の描写と、野卑なヒースクリフが印象に残りました。今回、改めて「嵐が丘」を読んでみた。

嵐が丘〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

E・ブロンテ / 光文社

新訳はずいぶんと読みやすくなっておりました。そして人生のあれやこれやを経験してきた今の自分には、キャサリンとヒースクリフの複雑な思いがよくよく伝わってきたのでした。

20代の頃、イングランドとスコットランドを2週間かけて一人旅しました。ロンドンから列車で北上しながら興味のある街を見て回ったんですが、突然の悪天候に見舞われイングランド北部の荒々しい気候を肌で感じたことを今も強烈に覚えています。嵐の中、灰色の空を背景にそびえ立つ古い聖堂のたたずまいは、まさにゴシックの世界でした。

今回の舞台は演出のG2さんが、“分かりやすい”とか“食べやすい”、“手に入りやすい”ことばかりを目指す日本の現状に疑問を呈し、「嵐が丘」というとっつきにくい小説を、本来“手に入り難さ”が命綱である舞台演劇として濃厚に刺激的に再現した、というものでした。

原作を読み終えたのが、劇場に向かう地下鉄の中でした。原作の最後の部分を芝居の冒頭に持ってきて、そこから過去を回想する、という演出だったので、幕が開くと、ついさっき国会議事堂前駅あたりで読みながら、自分なりに頭の中で思い描いたシーンが文中のセリフもそのままに目の前に現れるという、なんだかとっても不思議に面白い状況なのでした。安定感十分の戸田恵子さんを軸に、堀北真希さん、山本耕史さんが美しく激しく悲しいキャサリンとヒースクリフの生涯を演じる姿、そしてイングランドの旅で目にした風景がよみがえるような生演奏と共に、中学生の私にはよく分からなかった「愛憎相半ばする」という概念がようやく腑に落ちた気がしたのでした。

映画も舞台も、原作や監督演出者の意図に触れながらもっと深く味わっていきたいなという思いを新たにした「嵐が丘」でした。

[PR]
by honyakusha | 2015-06-14 06:36 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

The Imitation Game イミテーション・ゲーム 英語音声英語字幕のみ[PAL-UK版]

Studiocanal


劇場公開は終わったと思ってたら、近くのシネコンでアンコール上映されていたので観てきました。
すごくせつなかったです。

あの時代にマイノリティーとして生きる厳しさ。パブリックスクールでいじめに遭うシーンは特に胸が痛かった…。
我が息子もいろいろあるとは言え、ある程度は多様性が理解され許容される今の時代に生まれて幸運だったと思いました。

この映画では天才数学者の秘密を描きつつ、エニグマという暗号機で作られた暗号メッセージを彼がチームの仲間と共に解読する経緯が紹介されます。もう少し知りたくなって、この本を読んでみました。

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

サイモン シン / 新潮社


カエサルからスコットランド女王メアリー・スチュアート、ルイ14世をはじめ多くの興味深い暗号エピソードが紹介され、世界の歴史とは暗号作成とその解読の歴史でもあるのだなあ、と感じました。戦争中は暗号解読を敵国に知られない方が有利ですから、暗号解読者の存在が公になることはなく、その偉業が一般から賞賛を受ける機会も当然なく、解読者本人も固く口止めされているために、戦地で闘わずに何をしてるんだ!と責められても何も言えないというのがまたせつなかった。

頭髪を剃って秘密のメッセージを頭皮に刺青し、再び髪が伸びてから怪しまれずに敵国に侵入し、髪を剃ってそのメッセージを伝える、というかなりのんびりした手法から暗号作成の最高峰エニグマ機に至るまで、具体的な暗号技術の解説もありましたが、数学的な部分は私の頭ではほとんど理解できませんでした。

でも、もとの文章をある法則にのっとって別の文字や単語に置き換えるという最も基本の暗号作成手法は、英語を日本語に置き換える翻訳作業とあまり変わらない気がした。アルファベット26文字をひらがな漢字カタカナまじりの縦書き文章に置き換えてしまえば、かなり解読が難しい暗号文になるはず。難点は、日本人ならすごく簡単に解読できてしまうところです。

[PR]
by honyakusha | 2015-06-11 10:00 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

驚きの映画「インターステラ―」

インターステラー ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/3枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

インターステラ―をDVDで鑑賞。
感想:すごくビックリした。
劇場で観たかったな。
でも劇場だったらかなりしんどかったかも。

宇宙に旅立つ父と残された娘の物語、という程度の予備知識、マシュー・マコノヒー主演だから見たい~、映像が迫力ありそうだからできれば劇場で!と思ったけど、全然行けませんでした。で、今回レンタルDVDで見てみて、その展開の意外さに驚愕。上映時間が長い上に、えええっ?!という展開が何度もあるので、途中で止めて頭を整理し気持ちを落ち着けながら最後まで鑑賞しました。本当は一気に見るべきなんだろうけど、というか、目が離せない展開ではあるんだけど、あまりにも話のスケールが大きすぎました。

よくこんな話を作ったなあ、クリストファー・ノーラン監督。
こういう映画が劇場で1,800円ってすごく安価に感じられます。
ああ、劇場で観たかった。夫と観ていろいろと感想を語り合いたかったなあ。

今回はヘビィな役どころだったマシュー・マコノヒー。彼が軽やかに二枚目を演じた「ウェディング・プランナー」もまた見たくなりました♡

[PR]
by honyakusha | 2015-05-10 16:44 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

先週、アン・リー監督「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」をIMAX3Dで観てきました!

これは私にとって生涯ベスト1の映画となりました。何と言っても映像が非常に美しい。冒頭の動物園の映像と絡ませたオープニングクレジット、パイ少年の本名の由来となったフランスのプールのシーン、かつてフランス領だったインドのポンディシェリの街並み、ちょっと高いけどIMAX3Dで観てよかった~と思いながら映像の世界に酔いしれました。

この映画は、日本人には少し分かりにくいかもしれません。少年がトラと大海原を漂流する映像は素晴らしい出来ですが、本当の見どころはこの作品の持つテーマ、「神との出会い」です。パイ少年は、ヒンズー教、カトリック、イスラム教という3つの宗教を同時に信じるという形で全知全能の神の存在を意識します。このところ、いろんな友人と話していてなんとなく宗教の話になることが何度かありました。クリスチャンの友人や、そうでない友人がそれぞれ、自分自身の宗教との付き合い方について悩んでいるのをみることもあります。私はこの映画はそんな人にすごく大きなヒントをくれるのではないかと思います。映画を観ながら、すべての答はここにある、と感じました。

大嵐の中、激しい波にもみくちゃにされながらパイが神に呼びかけるシーン、感動のあまり震えました。パイ役を演じたスラージ・シャルマ君はまったく演技経験のない普通の高校生だったようですが、すばらしい演技です。美しい3D映像作品は字幕で観ない方がいいのかなと感じるシーンもありましたが、彼のインドアクセントの英語がこの作品の中ですごく生きているので、吹替えになってしまうと私には感動が薄れたかもしれません。

そして登場するトラ“リチャード・パーカー”は実写は少なくほとんどCGで作られていますが、強く恐ろしく美しいです。助演男優賞…ではなく視覚効果賞にふさわしい名演技でした。私はもうリチャード・パーカーの大ファン。字幕はすべて「リチャード・パーカー」というフルネーム表記です。「リチャード」とか「R・パーカー」と略さない点にさりげない効果を感じました。

原作本「パイの物語」も読みました。全米ベストセラーとなりながらも映画化は不可能と言われていた小説を、アン・リー監督は長い年月をかけてたくさんのスタッフと力を合わせて映像化しました。よくぞこの映画を撮ってくださいました。アカデミー監督賞おめでとう!

観終わった時、自分の子供たちと愛犬をギュウ~~ッとしたくなりました。

[PR]
by honyakusha | 2013-02-27 12:12 | 本・映画・舞台 | Comments(0)