カテゴリ:本・映画・舞台( 22 )

「ガール・オン・ザ・トレイン」

そう言えば、「ガール・オン・ザ・トレイン」の感想をまだ書いてませんでした。
これはレンタルDVDで観たのですが、私的にはすっごく面白かったです。面白い、というのとは少し違うかな。家で映画を見る時は何だかんだで途中で中断しつつ時間をかけてしまうことも多いのですが、これは最後まで一気に観ずにはいられない作品でした。

「スプリット」を劇場で観たすぐ後でしたが、「ガール・オン・ザ・トレイン」の方が劇場で観たらすごく怖かっただろうな。物語は非常に淡々と進むんですが、次々と新たな事実が明るみに出て、えっっ…そ、そうだったの!?という展開でどんどん引き込まれました。好きだなあ、こういう心理的サスペンス。

登場する女性3人もそれぞれが魅力的な女優さん(エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット)が演じていて、彼女たちの他の作品も観たくなりました。男性監督作品であることが意外なぐらい女性の描き方がうまいのは、原作小説がよく出来ているからでしょうね。女性にしか書けない世界だわ。女性におススメ、男性には覚悟して観てね、と言ってあげたい作品です!

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by honyakusha | 2017-06-18 09:30 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「スプリット」と「ガール・オン・ザ・トレイン」

最近観たサスペンス映画2本。
「スプリット」は個人的にジェームズ・マカヴォイのファンなので、劇場公開後早々に観に行きました。
「M・ナイト・シャマラン作品史上最も衝撃的なラスト!」という触れ込みですが、それはちょっと肩透かしだったような…。

多重人格者役のマカヴォイの演技は、楽しめました。マカヴォイはスコットランド出身で、普段のインタビューや「フィルス」などではスコットランドアクセントだけど「X-MEN」シリーズではいかにもオックスフォード大卒風だったり、いろんな話し方が出来るところが興味深いのです。今回は1作で何人もの話し方をしていて、持ち前のカメレオンぶり全開でした。

字幕も勉強になりました。一人の人物だけど多重人格なので、場面によって潔癖症の男性だったりオネエ風のデザイナーだったり、女性だったり子供だったりもするので、一人称からして変わっています。聞こえてくる英語で伝わるニュアンスもあると思いますが、場面によって人格が変わっていることを字幕で表現する高度な技術を目の当たりにしました。字幕翻訳は風間綾平さんです。

「ガール・オン・ザ・トレイン」の感想は改めて。

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by honyakusha | 2017-06-07 06:34 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「光をくれた人」

デレク・シアンフランス監督 マイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデル主演の「光をくれた人」は、美しい映画でした。
字幕翻訳を担当された松浦美奈さんの記事を読んで、これは見なくてはと思ってたのですが、まさに。映像が非常に美しい。厳しい環境における大自然の力強い景観がスクリーンいっぱいに広がって、もう圧倒されました。この見事な映像の一部を字幕で隠さなくてはならないというのは、かなり葛藤があったことと思います。やはり字幕はきちんと情報を伝えつつ、極力コンパクトにすべきなんだなあ。字幕スクールで先生がおっしゃってたことがよく分かりました。

第一次世界大戦直後のお話で、時代背景や衣装も大変興味深かったです。ドラマ自体はなんとなく展開が読めましたが、自分だったらどうする?もし逆の立場だったら?などといろいろと考えさせられる内容です。

そして、帰還兵の心の傷は果てしなく深いのだと改めて感じました。

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by honyakusha | 2017-05-31 14:27 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「インフェルノ」

TOHOシネマズの割引券の期限が迫っているので、午後の用事までに帰宅できるようサクッと渋谷まで観にいきました。が、「インフェルノ」は割引料金800円では申し訳ないぐらいゴージャスな映画でした。

「神曲」の地獄篇が関係してるらしいので、以前kindleにダウンロードしてあった「神曲 -まんがで読破-」を電車の中でささっと読んでおきました。そのおかげでなんとなく冒頭から作品の世界に入りやすかったような。舞台となるフィレンツェの街が美しかった。個人的に若かりし日の思い出が詰まってる街なので、ポンテヴェッキオとかドゥオモの光景に、胸がキュンとしました。

ラングドン教授は“歩く博物館”みたいな知識の宝庫で、映画の中でも彼が博識を披露するシーンがちょくちょく出てきます。こういう人が身近にいたら翻訳中に史実を確認したりする必要が生じた時に便利だろうなあ、なんて考えてしまいました。

重厚な文化と歴史に縁取られた謎解きの楽しさが、なんだかとってもゴージャスな気持ちにさせてくれる映画でした。そして「字幕 戸田奈津子、監修 越前敏弥」という王道コンビネーションも、これまたゴージャスな印象。

ダン・ブラウンの著作もこのところ読んでませんでしたが、改めてどっぷりと謎解きの世界に浸ってみたくなりました。

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by honyakusha | 2016-11-08 15:17 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「奇蹟がくれた数式」

インドの〈アインシュタインと並ぶ天才・ラマヌジャン〉を見出した英国人数学者。
2人が起こした奇蹟と友情を描いた感動の実話。(チラシより引用)

静かにじわじわとくる映画でした。友情がテーマのブロマンスものでもあるんですが、ジェレミー・アイアンズが演じる英国人数学者も、デヴ・パテル演じるラマヌジャンも、頭脳明晰ではあるけれど人間関係の構築はとっても苦手な学者肌な人達です。この2人が不器用にぎこちなく信頼関係を育んでゆく過程が静かに描かれていきます。

数学の世界を揺るがすレベルの発見を次々と重ねていくラマヌジャン。なんと独学で数学を学んできたと。ラマヌジャンがインドではなく英国の恵まれた環境に生まれていたなら、もっと早い時期からバリバリと研究をして数学界にもっともっと貢献できたはずなのに。大学に招聘されても学歴がなく身分も低いためにプライドの高い教授陣に拒絶され、孤独の中で情熱的に研究を続ける姿に、神様なぜですか?と問いたくなります。でもラマヌジャンは自分の境遇を嘆いたりすることはなく、自分の発見は神様が授けて下さるのだと、常に敬虔な心を失わないのです。(ヒンドゥー教徒です。)

字幕は松浦美奈さんです。「無限級数」とか「連分数」とか、音で聞いても私のような数学オンチにはさっぱりな言葉がたくさん出てくるので、こういう映画は字幕の効用が大きいと思います。第一次世界大戦中の英国の大学における数学の授業やインドの文化など、なんと高いレベルが要求される翻訳だろう、と圧倒されました。

不遇な中にあっても熱い思いを失わず、ひたすら研究し続けるラマヌジャンを見て、
恵まれた時代に生きる自分はいったい何をしてるんだ、と思わされました。仕事がどうのと言う前に、まずもっともっと勉強をしようと改めて心に誓ったのでした。

Bunkamura ル・シネマは観てみたい!と思わせる映画が多いです。鑑賞後、地下階にあるカフェ・ドゥ・マゴで1人余韻に浸るのがいい感じ。また行こうっと。

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by honyakusha | 2016-10-27 10:32 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「ジェイソン・ボーン」

久々に映画を観に行けました。「ジェイソン・ボーン」。楽しかった~。

ポール・グリーングラス監督のドライな演出、マット・デイモン=ジェイソン・ボーンとしか思えないはまりっぷり、そしてヴァンサン・カッセルの安定した悪役ぶりは、どれも期待通りでした。私はマット・デイモンという人は稀代の名優と思ってます。この人の、表情だけで心の動きを見事に表現する演技力は、「オデッセイ」みたいに、ずーっと宇宙船内のシーンばかり続くような映画では特に際立っていました。今回は最初から最後まで、楽しげなシーンは全くなく、ジェイソンの感情も苦悩とか悲しみとか怒りとかしかないんですが、そんな中でもこんなに表情のバリエーションがあるのねえ、と思いながら見てました。

最初から最後までずーっとハラハラしっぱなしで、文字どおり手に汗握る展開が続くんですが、さあ、いよいよ最後のカーチェイスが始まる~という瞬間には思わず立ち上がって「行けー!ジェイソン・ボーン!!」と叫びそうになりました。

ジェイソン・ボーンとヴァンサン・カッセル演じるエージェントだけが超人的に強くて、それ以外のCIAエージェントなんかがあまりにへなちょこで、何人束になってかかってもあっという間にジェイソン・ボーンにやられてしまうのが笑えます。ヒロイン役は、もう少し年齢が上の方がいいような気もしましたが、「新人」という設定だから若くていいのか、いやそもそも新人がいきなりCIAでこんなに責任ある仕事をさせてもらえるものなの?とか、いろいろあるけど、とにかくスカッと楽しめたし、戸田奈津子先生の字幕も堪能できて、大満足でした。

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by honyakusha | 2016-10-14 18:08 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「ステーキ・レボリューション」

二子玉川にできた映画館に行ってみたいけどなかなか行く機会がないなあ、と思っていたら、ちょっと気になる映画が公開され、駒澤の歯医者の帰りに寄ればちょうどイイ!ということで、初二子玉シネマしてきました。気になる映画、それは「ステーキ・レボリューション」、世界一おいしいステーキを求めて世界をめぐるドキュメンタリーです。

「麻酔を使ったので、食事は1時間ぐらい後にしてください」と11時に歯医者で言われ、そのまま何も食べずに11時40分からの上映を見たのです。「映画史上最もお腹が減るドキュメンタリー」を。これはかなり無謀でした。おまけに初めての劇場で、自動券売機の画面にタッチして座席を選ぶという経験も初めてだったので、よく確かめずに座席指定してしまい、後ろの方の席のつもりが、実はすごく前の方の席でした。スクリーンに映し出される巨大なお肉!目の前でジュウジュウと音を立てて焼かれるステーキ!切り分けられる絶妙の焼き加減のお肉!もう匂いまでしてきそうな、手を伸ばせば届きそうな距離でそれを見つめるはらぺこあおむしな私。。。

冒頭からとっても美味しそうなステーキが次々と紹介されて、どれも世界一と言ってもいいんでは?という感じなので、いったい世界一はどれだけ美味しいのか?と、途中からはお腹が空いてることも忘れるぐらい夢中で見てしまいました。牛を育てている各国の畜産農家の皆さんは、それぞれ大変な情熱とそれぞれのポリシーを持って牛を育てています。そのポリシーは人それぞれだけど、どのポリシーにも納得させられる部分がありました。

以前、「TPPでお肉が安くなるからうれしいよね」と友人に言われた時、ちょっと複雑な気持ちになりました。、私自身は、コストをかけずに大量生産されたお肉を買うのは抵抗があります。この映画に登場した、スペインで15年ぐらいかけて1頭を育てる農家や、スウェーデンの牧場で理想の和牛を作るために、胚の段階から育て始めたMBA博士は、どれだけコストがかかろうと長い時間をかけて、丁寧に牛を育ててるのが伝わってきました。まさに、命をいただく、という感じ。

ランキング入りしたお肉はどれもはっきりとした特徴があり、その個性をどう評価するかで、順位は変わるのだろうなと思いました。どうやって育てれば世界一おいしくなるかは、育てる人の価値観を反映してるということかもしれない、と思いながら見てたので、最後の字幕で「おおー、やっぱりそうか」と思いました。

原題「STEAK (R)EVOLUTION」に表現されてる、牛を育てる人々のj常識を覆す熱い思いがジワジワジュウジュウと伝わってくるドキュメンタリーでした。

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by honyakusha | 2015-10-24 21:43 | 本・映画・舞台 | Comments(2)

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」

やっと見に行けました、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」。評判通りの面白さでもう大満足です。

作品全体の娯楽性の高さはもちろんなんですが、私が最もワクワクしたのはバイクアクションのシーンです!実は私、バイク好きなのです。20代の頃は東京から鹿児島までツーリングしたこともあるし、静岡で塾講師をしていた頃は250ccのバイクで通勤し、職場でスカートとパンプスに着替えてから教壇に立っていました。今後バイクに乗ることはないとは思うけど、バイクでしか味わえないあの、空気と一体化して街を、山を、海岸を走り抜ける爽快感を今も懐かしく思い出します。

で、そんな感覚が思わずよみがえった「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」なのです。
トムのハングオフスタイルはとんでもなくカッコよかったですが、更にカッコよかったのが彼から猛スピードで逃げる女スパイのイルサ。まさに女性版イーサン・ハントという感じで、レギュラーとして再登場してほしい魅力的なキャラでした。使われていたバイクが比較的小ぶりだったのも良かった。2台のトラックの間をすり抜けたり高低差のある山道をギュンギュン走るシーンが臨場感たっぷりで、わあ、やっぱバイクいいなあ、と思ってしまった。

エンドクレジットがすごく長かったです。どれだけ多くの人がどれだけ多くの時間をかけてこの映画を作ったかがということが伝わってきて、なんかそんなところにも感動してしまいました。

家で「6才のボクが、大人になるまで」と「博士と彼女のセオリー」をDVDで見て、その翌日に劇場で「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を見たのですが、この3作はどれも全然違う意味において非常に意欲的な作品でした。

今までにない作品を作りたい、という気持ちが伝わってくるいい映画を3つも立て続けに見られて幸せだなあと思いながら、5速MTのエンジンをギュンギュン回しながら安全運転で帰りました。

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by honyakusha | 2015-09-18 05:50 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

「おじいちゃんが孫に語る戦争」と「ワルキューレ」

おじいちゃんが孫に語る戦争

田原 総一朗 / 講談社

図書館で見つけて、このところ戦争関連の質問の多い息子が読むかな、と思って借りました。日本がなぜ勝ち目のない戦争を始めたのか、とても分かりやすく書かれていて、私が勉強になりました。田原さんは小5の双子のお孫さんのために書かれたそうですが、中学生ぐらいになればもっとよく理解できそうかな。

少年時代の田原さんの夢は「お国のために戦って名誉の戦死をとげること」だったそうです。そういう教育を受けた世代なのです。息子にとってはこれがすごく衝撃的だったみたい。

「日本は正義のために戦っている。悪い国と戦って名誉の戦死をとげよ」と教えられていたのに、戦争に敗けた途端、「戦争は悪いことなのだ。戦争が起こりそうになったら反対の声をあげよ」と正反対のことを教えられ、田原少年は先生に言われるままに教科書を墨で塗りつぶしながら、大人のいうことや新聞に書かれていることを、簡単に信じたらいけないな、と思ったそうです。それは本当なのか、正しいのか、自分で調べ考えて、自分で判断できるようにならなければ、という気持ちが後にジャーナリストという職業を選ぶ元になったとのことでした。

この本では二二六事件のことも解説されていたのですが、これをを読んだ日に、たまたま録画してあった映画「ワルキューレ」を観ました。
そしたら、なんだかドイツで起きた暗殺計画と二二六事件はすごく似ている気がしました。

ワルキューレ プレミアム・エディション [DVD]

ポニーキャニオン


世論の流れには強い力があり、ぼんやりしているとあっという間に流れにのみ込まれてしまいます。日本もドイツも戦争に突き進んでいった背景には、一般大衆が情報を取捨選択し、吟味し、何が正しいのか判断できない時代だったこと、そして熱狂的とも言える世論の流れが関係しています。今、幸いなことに多様な価値観や情報を得る機会を与えられている時代に生きる私は、よく見聞きし考えて、正しいことを見極めることの大切さ、そして「正しい戦争なんてない」という田原さんのメッセージを子供たちに伝えていこうと思います。

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by honyakusha | 2015-08-15 17:18 | 本・映画・舞台 | Comments(0)

舞台「嵐が丘」

そう言えば「嵐が丘」の感想を書いてませんでした。

中学生の頃、世界十大小説の1つに数えられる小説「嵐が丘」を読みました。古い翻訳のためかかなり読みにくく、当時の自分は、なんで愛しあう2人がこんなに汚い言葉で罵り合うのかよく分からず。ともかく、ひたすら荒涼としたイングランド北部の描写と、野卑なヒースクリフが印象に残りました。今回、改めて「嵐が丘」を読んでみた。

嵐が丘〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

E・ブロンテ / 光文社

新訳はずいぶんと読みやすくなっておりました。そして人生のあれやこれやを経験してきた今の自分には、キャサリンとヒースクリフの複雑な思いがよくよく伝わってきたのでした。

20代の頃、イングランドとスコットランドを2週間かけて一人旅しました。ロンドンから列車で北上しながら興味のある街を見て回ったんですが、突然の悪天候に見舞われイングランド北部の荒々しい気候を肌で感じたことを今も強烈に覚えています。嵐の中、灰色の空を背景にそびえ立つ古い聖堂のたたずまいは、まさにゴシックの世界でした。

今回の舞台は演出のG2さんが、“分かりやすい”とか“食べやすい”、“手に入りやすい”ことばかりを目指す日本の現状に疑問を呈し、「嵐が丘」というとっつきにくい小説を、本来“手に入り難さ”が命綱である舞台演劇として濃厚に刺激的に再現した、というものでした。

原作を読み終えたのが、劇場に向かう地下鉄の中でした。原作の最後の部分を芝居の冒頭に持ってきて、そこから過去を回想する、という演出だったので、幕が開くと、ついさっき国会議事堂前駅あたりで読みながら、自分なりに頭の中で思い描いたシーンが文中のセリフもそのままに目の前に現れるという、なんだかとっても不思議に面白い状況なのでした。安定感十分の戸田恵子さんを軸に、堀北真希さん、山本耕史さんが美しく激しく悲しいキャサリンとヒースクリフの生涯を演じる姿、そしてイングランドの旅で目にした風景がよみがえるような生演奏と共に、中学生の私にはよく分からなかった「愛憎相半ばする」という概念がようやく腑に落ちた気がしたのでした。

映画も舞台も、原作や監督演出者の意図に触れながらもっと深く味わっていきたいなという思いを新たにした「嵐が丘」でした。

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by honyakusha | 2015-06-14 06:36 | 本・映画・舞台 | Comments(0)