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お花のレスキュー

隣の土地に家が16軒も建つらしい。今までは趣味の菜園として、四季折々の野菜や花で周辺住民の目を楽しませてくれる楽園のような土地でした。昨年末に木々が伐採され、砂利が敷かれ、3月までは近所の幼稚園の駐車場として利用されていました。

4月になり、いよいよ明日から宅地造成が始まるという日。押し固められた砂利の下から、小さな緑の新芽がいくつか顔をのぞかせてるのに気づきました。何の芽なのかも分からなかったけど、大きな環境変化にもじっと耐え、砂利の隙間から春の太陽を求めて姿を現したその芽は、とても健気に思えました。

明日には大型重機に踏みつぶされてしまうと思うとそのままにはできず、子供たちと一緒にスコップで球根を掘り出し、うちの庭に植えました。

小さな芽は我が家の庭ですくすくと成長し、つぼみをつけ、ついにこんな立派なお花が咲いたのです。
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楽園は失われたけど、この花の命を救えてよかったなあ。

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by honyakusha | 2015-06-17 11:08 | 歳時記

舞台「嵐が丘」

そう言えば「嵐が丘」の感想を書いてませんでした。

中学生の頃、世界十大小説の1つに数えられる小説「嵐が丘」を読みました。古い翻訳のためかかなり読みにくく、当時の自分は、なんで愛しあう2人がこんなに汚い言葉で罵り合うのかよく分からず。ともかく、ひたすら荒涼としたイングランド北部の描写と、野卑なヒースクリフが印象に残りました。今回、改めて「嵐が丘」を読んでみた。

嵐が丘〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

E・ブロンテ / 光文社

新訳はずいぶんと読みやすくなっておりました。そして人生のあれやこれやを経験してきた今の自分には、キャサリンとヒースクリフの複雑な思いがよくよく伝わってきたのでした。

20代の頃、イングランドとスコットランドを2週間かけて一人旅しました。ロンドンから列車で北上しながら興味のある街を見て回ったんですが、突然の悪天候に見舞われイングランド北部の荒々しい気候を肌で感じたことを今も強烈に覚えています。嵐の中、灰色の空を背景にそびえ立つ古い聖堂のたたずまいは、まさにゴシックの世界でした。

今回の舞台は演出のG2さんが、“分かりやすい”とか“食べやすい”、“手に入りやすい”ことばかりを目指す日本の現状に疑問を呈し、「嵐が丘」というとっつきにくい小説を、本来“手に入り難さ”が命綱である舞台演劇として濃厚に刺激的に再現した、というものでした。

原作を読み終えたのが、劇場に向かう地下鉄の中でした。原作の最後の部分を芝居の冒頭に持ってきて、そこから過去を回想する、という演出だったので、幕が開くと、ついさっき国会議事堂前駅あたりで読みながら、自分なりに頭の中で思い描いたシーンが文中のセリフもそのままに目の前に現れるという、なんだかとっても不思議に面白い状況なのでした。安定感十分の戸田恵子さんを軸に、堀北真希さん、山本耕史さんが美しく激しく悲しいキャサリンとヒースクリフの生涯を演じる姿、そしてイングランドの旅で目にした風景がよみがえるような生演奏と共に、中学生の私にはよく分からなかった「愛憎相半ばする」という概念がようやく腑に落ちた気がしたのでした。

映画も舞台も、原作や監督演出者の意図に触れながらもっと深く味わっていきたいなという思いを新たにした「嵐が丘」でした。

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by honyakusha | 2015-06-14 06:36 | 本・映画・舞台

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

The Imitation Game イミテーション・ゲーム 英語音声英語字幕のみ[PAL-UK版]

Studiocanal


劇場公開は終わったと思ってたら、近くのシネコンでアンコール上映されていたので観てきました。
すごくせつなかったです。

あの時代にマイノリティーとして生きる厳しさ。パブリックスクールでいじめに遭うシーンは特に胸が痛かった…。
我が息子もいろいろあるとは言え、ある程度は多様性が理解され許容される今の時代に生まれて幸運だったと思いました。

この映画では天才数学者の秘密を描きつつ、エニグマという暗号機で作られた暗号メッセージを彼がチームの仲間と共に解読する経緯が紹介されます。もう少し知りたくなって、この本を読んでみました。

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

サイモン シン / 新潮社


カエサルからスコットランド女王メアリー・スチュアート、ルイ14世をはじめ多くの興味深い暗号エピソードが紹介され、世界の歴史とは暗号作成とその解読の歴史でもあるのだなあ、と感じました。戦争中は暗号解読を敵国に知られない方が有利ですから、暗号解読者の存在が公になることはなく、その偉業が一般から賞賛を受ける機会も当然なく、解読者本人も固く口止めされているために、戦地で闘わずに何をしてるんだ!と責められても何も言えないというのがまたせつなかった。

頭髪を剃って秘密のメッセージを頭皮に刺青し、再び髪が伸びてから怪しまれずに敵国に侵入し、髪を剃ってそのメッセージを伝える、というかなりのんびりした手法から暗号作成の最高峰エニグマ機に至るまで、具体的な暗号技術の解説もありましたが、数学的な部分は私の頭ではほとんど理解できませんでした。

でも、もとの文章をある法則にのっとって別の文字や単語に置き換えるという最も基本の暗号作成手法は、英語を日本語に置き換える翻訳作業とあまり変わらない気がした。アルファベット26文字をひらがな漢字カタカナまじりの縦書き文章に置き換えてしまえば、かなり解読が難しい暗号文になるはず。難点は、日本人ならすごく簡単に解読できてしまうところです。

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by honyakusha | 2015-06-11 10:00 | 本・映画・舞台

「◯◯◯も◯◯◯も◯◯◯も 展」その2

「◯◯◯も◯◯◯も◯◯◯も 展」で何に感動したかというと、自分の知らない生き方がそこにあったことです。

「まちを家に見立て、間取りを描く」という出展をされていた村上慧さん。
「国内のいろいろな町に行き、誰かの敷地を借りて、そこに自分の寝室を建てて寝るという生活をしています。そして近所の公衆トイレや銭湯を「自分の家のトイレ・お風呂」として間取りを描いてきました。」

今回の会場にも寝室を建て、六本木の街を自分の家にしているそうです。へええええ!

「ありそうで実在しない都市の地図」を出展されていた地理人さん。
7歳の頃から実在しない都市地図「空想地図」やバスの路線図を描き始め、今も描き続けているそうです。現在は都市や地域情報、地図に関する講演、ワークショップ、記事執筆を行ったりNHK教育番組やドラマで使われる架空の舞台の地図制作を行っているとのこと。ほおおおおお!

小学校でなかなか周囲と同じように行動できず苦労しているピカを見て、将来どうなるんだろうか、と不安の絶えない私にとって、このような方々の存在はまさに闇で光を見た思いでした。一般的な価値基準にとらわれることなく、他人に何と言われようと自分のやりたいことを真摯に追求し、それを発表する場を得て、見た人に感動を与える。とても豊かな生き方です。
きっとピカは母の想像力を超えた人生を彼なりに歩んでいってくれるはず、と思えたのでした。

寝室にお邪魔中。
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by honyakusha | 2015-06-05 11:00 | お出かけ

◯◯◯も◯◯◯も◯◯◯も 展@東京ミッドタウン・デザインハブ

「単位展」のついでに見に行ったんだけど、これがまた最高に面白かった。

エクスプローラー(探検家)が「アマゾンに行くぞー!」と思い立ちます。
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で、そのアマゾンがどこかというと、はるか先に見えるモニターの中なのです。
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こんなふうに望遠鏡をのぞきながらキーボードに打ち込むと
(ピカは自分のデジカメのモニター越しにのぞいてます。)
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モニターに表示されます。
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なんだかね、便利になったはずなのに窮屈な気がする、ちょっと距離をおいてみたらどうだろうか、という発想に感動しましたよ。

「各分野のプロフェッショナルが自らの専門分野の手法を用いて、異なる分野の魅力を表現します」という展示会ですが、どの作品も衝撃的に楽しくて、たいへん印象深かったです。

続く。

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by honyakusha | 2015-06-02 15:05 | お出かけ

「単位展」

「『単位展』に行きたい!」とルカにせがまれ、六本木ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTに行ってきました。
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確かに評判通りの面白さでした。長さ、重さ、速さ、量などなど、単位、深いですなあ。

近づくとどんどんピクセル化されてしまう。
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なんとなく予想はしてたけど、やはりそうでしたか…。
(キーボードで好きな言葉を入力すると、合計した文字の重さが表示されます。The weight of the lettersもしくはThe weight of the wordかな?)
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こうやって見て触れてみると、よく分かります。
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長さの単位「メートル」の解説 (これは知らなかった!)
“18世紀末のフランスで、世界共通で使える長さの単位をめざして制定された。当初は、「北極点から赤道までの長さの1000万分の1」を1mと定めていた。現在の1mは、「光が2億9979万2458分の1秒の間に真空中を進む距離」と定められている。なお、メートル法は現在、ほぼ世界中で使われているが、アメリカ合衆国ではヤード・ポンド法が普及している。”

なぜ2億9979万2458分の1秒なのか、それを追求していくとまた深い話になりそう。
せっかく世界共通を目指して制定したんだから、アメリカでもメートル法を使ってくれれば翻訳が少しラクだったのになあ。

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by honyakusha | 2015-06-01 19:00 | お出かけ