「万引き家族」と「逆境に生きる子たち」

映画館で、何気なく「万引き家族」を見たら予想外に泣いてしまった。

それが正しいかもしれないけど正解ではない。
それは事実だけど真実じゃない。

画面に向かって心の中で叫ばずにはいられなかったよ。

あの子たちはどうなるんだろう。
悲しい気持ちになりかけたところで、たまたま読んでいた本に救われました。

逆境に生きる子たち――トラウマと回復の心理学

メグ ジェイ/早川書房

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息子を育てる参考にと思って読み始めたけど、そこに書かれていたのは他ならぬ私自身のことでした。子供時代に心に傷を負ってもそこから立ち直れる人物を「レジリエント」、そして更に優れた業績を成し遂げる人を「スーパーノーマル」と著者は呼ぶ。逆境にいる間は何とかして日々をやり過ごす方策を編みだし、そして機を見てその環境を脱して人生を「リブート」する。著者が実際に出会った人々や著名な人々の事例を挙げながら、科学的根拠に基づいて傷ついた子供たちが新たな人生で成功を収めていく過程を示してくれる。どのエピソードも非常に心を打ちます。

私自身はスーパーノーマルではないけれどレジリエントであることは間違いなく、この本に登場する人々の生き方に大いに共感し、かつて自分が決断し実行してきたことは間違っていなかったと思うことができました。逆境に傷つきながらも今後とるべきアクションを冷静に考え、黙って実行してきた自分をかわいげのない子供だったと思ってきたけど、あれが当時の自分にできる最善の選択だったのだと裏書きしてもらった気になった。

「万引き家族」に登場した子供たちも、きっとチャンスをとらえて人生をリブートし、この本に登場する人々のように、苦悩したからこそ引き出せた自身の才能を開花させていくはず。与えられた環境の中、生き生きと自分の役割を果たしていた姿にそう感じた。

そして、この本に出てくるグラント研究の結論が興味深い。1930年代から75年の歳月と2000万ドルをつぎ込んで行われた、ハーバードの優秀な学生のその後の人生を追跡したこの研究から得られた極めて単純な結論、「しあわせとは愛である。以上」は、「万引き家族」が伝えていることと同じだと思った。

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by honyakusha | 2018-10-22 12:28 | 本・映画・舞台・ドラマ | Comments(0)
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